
ご挨拶
桃林寺は慶長十六年に創建され、
おかげさまで400年有余年を迎えました。
宗教はいつの時代も人の心を
豊かにする役目を担ってきました。
物質的な豊かさを手に入れた現代でも、
人の心は満たされることなく、
心の豊かさを求め続けています。
自己と向き合い前向きに生きる
お手伝いができましたら幸いです。
これからもみなさまの心の拠り所で
あり続けられるよう精進してまいります。

歴史
慶長十六年
桃林寺創建

桃林寺は「霊雲山」と号し、慶長16年(1611年)奥平信昌公と徳川家康公のご長女亀姫様のご次男、松平右京大夫家治公の菩提を弔うために、騎西保寧寺の南雄和尚を迎えて創建されました。仏道に熱心でありました奥平信昌公は、幕府から拝領した江戸の一地に桃林寺を創建し末永き加護を約束され、亀姫様は蜀錦袈裟を贈られ信心の誠を表されたそうです。(騎西町史中世編より)
本山は臨済宗妙心寺派、臨済宗に伝わる禅の教えを受け継いでおります。創建時は八丁堀に位置していましたが、寛永12年(1635年)江戸城周辺の整備にともない、現在の浅草に移転したと伝えられています。
大正昭和
再建の歩み

大正時代には関東大震災、昭和時代には東京大空襲により被災し境内も焼失しましたが、その度に檀信徒のみなさまにお力添えいただき再建されてきました。桃林寺の位置する台東区は関東大震災時も空襲時も被害が大きく、当寺でも草創以来の縁起、宝物などはほとんど残らずに焼失してしまいました。
東京大空襲の後、がれきの中から唯一焼け残ったお釈迦様が見つかりました。「天上天下唯我独尊」と説く誕生釈迦仏様を今でも大切にお守りして、手を合わせております。毎年4月8日の降誕会では誕生釈迦仏様をおまつりして法要をいたしております。
臨済宗について

臨済宗は禅宗の一派で、禅は釈尊から28代を経て、達磨大師がインドから中国に禅の教えを伝えられたことに始まります。唐代から中国禅宗が隆盛を極める中、臨済義玄禅師により臨済宗が始まりました。臨済宗は仏陀直伝の教えの禅を現代に受け継いでおります。日本への伝来は鎌倉時代に栄西禅師が入唐修行し、招来伝播したことがきっかけとなっています。栄西禅師は日本における茶道の始祖として広く知られております。
臨済宗は武士や商人、一般庶民など幅広い階層に受け入れられ、中でも武家に多く信仰されました。そのため著名な神社や仏閣には臨済宗と縁の深いものが多く、妙心寺、金閣寺、銀閣寺、鎌倉五山、京都五山、松島瑞厳寺など、枚挙にいとまがありません。
武士道や芸道、茶道などにも影響を与え、日本文化に深く根付いています。臨済宗では坐禅や公案を通じて、人間に本来備わっている仏性を見出し、真の自己を知ることで仏陀のお悟りを体現することを目指しています。また、既存の概念にとらわれることなく実践的な体験を重視し、自己の存在を自然そのものとして受け入れるような生き方を説いています。臨済宗の禅は「看話禅」といい、師から出された公案を考え坐禅を通し悟りに至る修行です。曹洞宗では壁に向かって座るのに対して、臨済宗では壁を背にして行うなど、禅宗によって坐禅の方法に違いがみられますが、禅を通して仏道を学ぶ点においては大きく異なりません。